私は80歳になりますが、今も上落合から新宿のジムに週二回通っています。
人からはよく「そんな年でジム?」と驚かれます。でも、歩けるうちは歩き、動けるうちは動きたい。そう思って始めたのがちょうど昨年。気づけばそれが、日々の楽しみになりました。
朝10時過ぎ、まだ街が少し静かな時間帯に家を出る。西武新宿線の電車に揺られ、駅前の雑踏を抜けジムへ向かう。若い人が多いと思っていたら、実際は30代・40代に混じって、私と同じくらいの先輩世代もちらほら。その姿に励まされるのは、むしろ私の方だ。
最初の頃は、マシンの使い方もわからず、スタッフに何度も聞いた。
「大丈夫ですよ、ゆっくりで」「無理せず楽しみましょう」
その言葉が嬉しくて、通うハードルが一段低くなった。
今のルーティンは決まっている。
まずはバイクを15分。身体が温まり、血が巡るのを感じる。
次にマシンで足と背中を軽く鍛える。重さは若者ほどではないが、継続こそ筋肉に効くと信じている。
最後はストレッチと風呂で仕上げ。これがたまらなく良い。
ひとりで通うジムは、意外と自由だ。
誰に合わせる必要もなく、疲れたら休み、調子が良い日は少し延長する。
80歳になると、他人に気を遣わずすむ時間が増えた分、「自分のペースでできる趣味」は貴重だと思う。
帰り道、汗をかいた身体に新宿の風が涼しい。
昔ほど速くは歩けないが、それでいい。前より元気になっている実感がある。
階段の登りも苦にならなくなったし、姿勢が自然と伸びるようになった。
妻にも「背中が若返った」と笑われた。
周りを見ると、年齢を理由に挑戦を諦めてしまう人が多い気がする。
でも、80歳で感じるのは反対だ。
年齢は制限ではなく、動く理由になる。
健康が資産というなら、私は今その残高を増やしている最中だ。
週に二回のジムは、私の投資だ。
誰に見せるでもないが、鏡の前で腕が少し太く見えたとき、小さなガッツポーズをしたくなる。
もちろん「若い頃から運動していれば…」と思う瞬間もある。
だが今できることをやる方が前向きだ。
過去より未来を楽しむ。
それがソロの楽しみ方だと感じている。
もし同年代の方がこの記事を読んでいるなら伝えたい。
やってみると案外楽しい。最初の一歩さえ踏めば、続けるのは思ったより簡単。
重いダンベルを持つ必要はない。散歩でも、ストレッチでもいい。
動けば身体は応えてくれる。
上落合から新宿まで週二回──
小さな挑戦だが、私にとっては大切な習慣だ。
今日もスニーカーを履き、電車に揺られてジムへ向かう。
80歳でも、いや80歳だからこそ、まだまだ進化できると信じている。

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