平日の夜、仕事帰りにふと思い立って焼肉きんぐに行ってみた。
以前から「食べ放題でひとりは勇気がいる」と思っていたけれど、今日はなぜかその気になった。お腹も空いていたし、何より“焼き肉を焼きたい気分”だった。
店に入ると、思ったより空いていた。
スタッフが明るく「おひとりさまですか?」と聞いてくれて、笑顔で案内してくれる。
案内されたのは、4人席。正直ちょっと広い。でも、席の端にトレーを置いて、焼き網の前にひとりで座ると、不思議と落ち着いた。
メニューを開く。コースは3種類。
せっかくなので、真ん中の「きんぐコース」にした。タッチパネルで注文するスタイルなので、他のテーブルを気にすることもない。
「カルビ」「ハラミ」「タン」「石焼ビビンバ」「ソフトクリーム」…どれも気軽に頼める。焼き肉を食べに来て、“遠慮”がないのは最高だ。
最初に届いたのは牛カルビ。じゅうっと音を立てて焼ける瞬間、テンションが上がる。
煙の香ばしさ、タレの甘辛い匂い、それだけで幸せになる。箸でつかんで口に入れた瞬間、脂がとけてご飯が欲しくなる。こういう瞬間を誰にも邪魔されずに味わえるのが、ひとり焼肉の醍醐味だ。
隣のテーブルを見ると、意外にもひとり客が何人かいた。
スーツ姿の男性、作業服の人、そして女性のひとり客も。みんな黙々と焼いて、黙々と食べている。
最初は少しだけ緊張していたけど、その光景を見たら安心した。
「焼肉=グループ」というイメージは、もう昔の話かもしれない。
食べ放題とはいえ、ひとりだとペースも自由。
好きなタイミングで焼けるし、注文も好きなタイミング。
「あと5分でカルビもう1皿行くか」「このあと冷麺で締めよう」――全部、自分で決められる。
友人や同僚と食べる焼肉も楽しいけど、“自分と対話する焼肉”も悪くない。
途中で網を交換してもらい、軽く塩タンを焼いた。レモン汁を垂らして食べると、口の中が一気にリセットされる。
タレ系の味が続いたあとの塩系は本当に助かる。
冷たいウーロン茶を飲みながら、「これが自由か」と小さく笑った。
ラストは石焼ビビンバで締め。
アツアツの石鍋にスプーンを入れると、じゅわっと音がしておこげの香ばしい香り。
少し焦げたご飯と甘辛いコチュジャンの組み合わせは、何度食べても満足感がある。
デザートのソフトクリームを食べながら時計を見ると、入店からちょうど1時間。
この1時間、誰にも気を使わず、ひたすら自分のペースで焼いて食べた。
店を出ると、夜風が少し涼しく感じた。
お腹が満たされると、心まで静かになる。
「ひとり焼肉なんて…」と少し前まで思っていた自分が、今はもう遠い。
自分の時間を、自分のために使えることは、贅沢以上の幸せだと思う。
焼肉きんぐは、意外にも“ひとり向き”の場所だった。
タッチパネル注文、広い席、気取らない空間。
今度は昼に行って、ランチ限定メニューも試してみよう。
あのじゅうっと鳴る音を、また自分のペースで味わいたい。
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■ 今日の気づき
ひとり焼肉は、孤独じゃない。自分と向き合う静かなご褒美。
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■ こんな人におすすめ
・ひとりで外食に挑戦したい人
・気を使わずに焼肉を楽しみたい人
・自分のペースで食べたい人
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