理由のない疲れが軽くなる。夕方の街をひとり歩いて心を整えた日

ひとり時間

今日は特に大きな予定がなかった。ただ、朝から胸の奥が重たい感じがして、理由が掴めないまま時間だけが過ぎた。誰かと話すべきか、逆にひとりで静かに過ごすべきか。迷いながらも、午後3時頃に外へ出た。結局、ひとりで歩く時間というのは、自分の状態を確認するためのセンサーみたいな役割があると、最近やっと気づいた。

最初は目的地を決めず、ただ街を歩いた。秋の空気は乾いていて、風が冷たい。けれど、それが逆に心地いい。頭の中で渦巻いていた思考に風が通るような感覚がした。信号待ちのとき、ふと横を見ると、スーツ姿のおじさんも空を見上げていた。たぶん、それぞれの理由で、休憩が必要なタイミングなんだと思う。

しばらく歩くと、前に見つけて気になっていたカフェが目に入った。タイミングがあったので入り口の扉をゆっくり開ける。店内は静かで、ひとり客率が高い。店員さんも必要以上に話しかけてこないので、変な緊張もない。こういう場所は、本当にありがたい。席に座ると、ラテを注文して、しばらくスマホの画面を伏せてテーブルに置いた。情報を遮断するだけで、世界が急に広くなる。

ラテが届いてから、手帳を開いた。最近あった出来事、モヤモヤしたこと、良かったことを順番に書く。文字にすると、心の中の散らかった棚が整理されるような感覚がある。人に聞いてもらう必要はなくて、書き終わったときに気持ちが軽くなっていたらそれでいい。

店内のBGMは少しジャズ寄りで、落ち着いたテンポ。壁際には観葉植物が置かれていて、空気がふわっと柔らかい。周囲にひとり客がいると安心感がある。「ひとりでも大丈夫」という証明を目の前で見せてくれている気がする。隣の席の人は本を読んでいて、向かいの席の人は静かにパソコンで作業していた。みんな自分の世界を生きている。

1時間ほど過ごし、外に出ると夕日が街をオレンジ色に染めていた。太陽の色には不思議な癒し効果がある。無理に頑張らなくても、今日を締めくくる感じがして、自然と背筋が伸びる。こういう瞬間は、誰かと一緒だと気づけないことが多い。ひとりだからこそ目に映る景色がある。

帰り道のコンビニでホットコーヒーを買い、短いベンチに腰かけた。自動ドアが開くたびに白い明かりが漏れ、その度に人が行き交う。でも、自分はその流れから外れて、止まっている。それが悪いことでも寂しいことでもない。むしろ、自分を守るための小さな避難所のような感覚。

家に着く頃には、胸の重さが3割ほど軽くなっていた。悩みは完全には消えていない。でも、ひとり散歩やひとりカフェには、この「改善の余地」を見せてくれる力がある。今日も自分なりに、ちゃんと向き合えた気がする。

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■ 今日の学び
ひとりで過ごす時間は、心の棚卸し。忙しい日ほど、短くても外に出ると、風が感情を撫でてくれる。

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■ 誰に向けて
・理由のない疲れが続く人
・帰り道が重く感じる人
・ゆっくり自分を整えたい人

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