群馬から福島へ。深夜のひとりドライブと車中泊ログ

ひとり旅

群馬県から福島県へ、思い立って深夜のひとりドライブに出かけた。
理由は特別なものではない。ただ、静かな夜にハンドルを握りながら、知らない景色へ向かって走りたくなっただけだ。誰にも気を使わず、予定も立てず、気が向いたら止まって、眠くなったら寝る。そんな「ひとり旅の自由さ」を久しぶりに味わいたかった。

夜22時すぎ、群馬の自宅をゆっくり出発。高崎から北上するルートを選び、国道や高速道路を繋いで福島方面へ向かう。深夜の道は驚くほど静かで、街灯だけが一定のリズムで車内を照らす。昼間の喧騒が嘘のように消えて、エンジン音とタイヤの感触だけが心に残る。こういう時間が好きだと思う瞬間が、ひとり旅には必ずある。

休憩は何度か挟んだ。サービスエリアの明かりは、深夜でも安心させてくれる。人気の少ない売店や、自販機の並ぶ静かなスペース。紙コップのコーヒーを片手に、スマホの地図を軽く見直す。目的地は決めていないけれど、「今日は福島で車中泊しよう」というだけ決めていた。深夜の高速をひとりで走っていると、目的よりも“進んでいる時間そのもの”が楽しくなる。

日付が変わった頃、福島県へ入る。県境を越えた瞬間の、ほんの小さな達成感。看板に「福島」の文字が出てくると、旅をしている実感が湧いてくる。夜の空気は群馬より少し冷たくて、窓を少しだけ開けると、ひんやりした風が車内を抜けた。

車中泊スポットを探しながら、適当な道の駅に停車。エンジンを切ると、静寂が一気に押し寄せてきた。まるで音が吸い込まれるような感覚。街灯の薄暗いオレンジ色の光と、遠くで聞こえるトラックの走行音だけが、夜を支えている。シートを倒し、寝袋に包まって横になる。この瞬間が、ひとり旅の醍醐味だと思う。

車の天井を見上げながら、今日のことをぼんやりと振り返る。特別な出来事は何もない。でも、“ひとりでどこかへ向かう”というだけで、自分の心が少し整う。車中泊の静けさは、普段気づかない心の重さをそっと落としてくれるようだ。眠りにつく直前、「またこういう旅をしよう」と自然と思った。

翌朝、福島の空は明るく澄んでいた。窓を少し開けると、冷たい空気が入ってきて頭がシャキッとする。外に出て伸びをすると、道の駅の周りの山々が朝日に照らされていた。観光地でも名所でもない場所なのに、妙に印象に残る風景だった。

エンジンをかけ、ゆっくりと帰路へ。帰り道もまた、ひとり旅の余韻が心地よかった。
群馬から福島まで深夜に走り、車中泊しただけの旅。でも、こういう「理由のない旅」が、意外と一番記憶に残るのかもしれない。

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