2025年のある日、仕事の帰りにふらっと立ち寄ったローソンストア100。物価高だ、チョコもスナックも値上げ続きのこの時代に、ふと駄菓子コーナーを覗いたら――目に入ったのは、あの懐かしい「うまい棒」。しかも値札は15円(税込にしてもワンコイン以下)。思わず二度見した。
「まだ残ってくれてありがとう」と心の中で呟いた。まるで子供の頃の友達がまだ同じ場所で遊んでいたみたいな感覚です。
大学時代も、小学生の時も、うまい棒は手の届く贅沢だった。部活帰りに友達と数本買って、公園のベンチで食べながらくだらない話をした。味はチーズ味が定番、たまにめんたい味に浮気する。あの頃の10円玉の重さと、ほのかに油のにおいがついた袋の質感まで思い出す。
そして今、50代になった私の手にも、同じ細長いパッケージがある。値段は少しだけ上がったけど、それでも15円。スタバのドリンクが700円、牛丼が500円、カップ麺が200円。色々な価格が上がった2025年でも、この駄菓子だけはまだ「子供でも買える価格」で踏みとどまってくれている。
買い物かごに入れながら、懐かしさだけじゃない気持ちになった。ひとり暮らしで仕事や学習に追われる日々。高いご馳走じゃなくても、こういう小さな幸せが心を柔らかくしてくれる。家に帰って袋を開けると、あの香ばしい匂いがふわっと広がる。噛んだ瞬間、サクッと軽い。濃いチーズパウダーが舌に絡んで、1本で小さな達成感。2本食べても30円。3本食べても45円。コスパの鬼。
最近は高タンパク食品や健康的な食事を意識しているけど、こういう「懐かしい背徳のおやつ」も人生に必要だと思う。むしろ節約生活や在宅作業のご褒美にぴったりだ。コーヒーと合わせても良いし、夜の動画編集の休憩にも合う。大人になってから食べるうまい棒って、子供の頃より味が濃く感じるのはなぜだろう。たぶん背負うものが増えた分、甘い時間が貴重だからかもしれない。
「また明日も頑張ろう」と思わせてくれる15円です。
コンビニで贅沢なスイーツを買わなくても良い。こういう小さな幸せを拾える人のほうが、人生の満足度は高いのかもしれない。
2025年、ローソンストア100でもまだうまい棒は売っていた。
変わるものが多い時代に、変わらずそこにある味――私は今日も、それを買う。

コメント