50代に入ってようやく、
自分が本当に大切にすべきものが見えてきた気がする。
若い頃は、仕事や家族や周りの人たちのために、
自分の時間を惜しみなく使っていた。
もちろんそれは、それで幸せだった。
誰かを支える毎日には、責任と温かさがある。
でも気づいたら、
「自分のために使う時間」がほとんど残っていなかった。
朝はバタバタと家のことをこなし、
昼は仕事、
夜は疲れて寝落ちするだけ。
心のどこかで、
“もっと自由に生きたい”
“もっと自分の人生を味わいたい”
そんな小さな声がしていたのに、
それに耳を傾ける余裕もなかった。
50代になって、ようやくわかった。
人生で一番大切なのは、時間とお金。
そして、それをどう使うかを自分で選ぶ自由。
若い頃のように体力はない。
同じ量の仕事もこなせない。
無理をすれば、次の日に響く。
だからこそ、
ムダなことに時間を使いたくない。
ムダな人間関係に気疲れしたくない。
ムダな支出に追われたくない。
“自分の時間とお金を、自分のために取り戻す。”
その決意をした日から、
生き方が少しずつ軽くなった。
ひとりで食べる朝ごはん。
静かなカフェで飲むホットコーヒー。
会社帰りに立ち寄るスーパーで、
自分が本当に食べたいものだけを買う。
それだけで、
なぜこんなにも心が安らぐのだろう。
他人に合わせて選ぶのではなく、
自分のペースで生きるということが、
こんなにも穏やかで心地よいとは知らなかった。
時間とお金の使い方は、
そのまま「自分の人生の優先順位」になる。
誰のためでもなく、
自分のために生きる。
子どもが巣立ち、
親も年老い、
自分の中の“役割”がいくつか終わったとき、
ぽっかりと空いたスペースに入ってきたのが、
この“ひとり時間”だった。
一人で食べる夜ご飯も、
一人で観る映画も、
一人で散歩する夕暮れも、
全部が“自分を取り戻す時間”になる。
孤独ではなく、
必要な静けさ。
寂しさではなく、
自分と向き合う贅沢。
50代になってやっとわかることがある。
人生は「誰かと生きる」だけじゃなく、
「自分のために生きる」時間が必要だということを。
これからの人生、
無理に人に合わせなくていいし、
背伸びする必要もない。
限られた時間とお金を、
自分の人生を豊かにするために使いたい。
小さなひとり飯も、
ひとりの休日も、
ひとりの旅行も。
それらは全部、
50代からの人生を輝かせるための、大事な種になる。
今の私は、
ようやく“自分の人生”を生き始めた気がしている。


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