アパートの鍵を紛失して、花壇を30分探しても見つからず、警察に相談した話

ひとり暮らし

アパートの鍵を落として30分探した。見つからず警察に相談した夜|SoloHub**

鍵を落としたことに気づいたのは、アパートの玄関の前に立った瞬間だった。
いつものように右ポケットに手を入れる。しかし、触れるはずの金属の感触がない。

「あれ?…ない。」

慌てて左ポケット、バッグ、財布の中を探す。
何度も同じ場所をまさぐって、分かっているのにもう一度確認してしまう。
それでも、ない。

結局、帰り道の途中にある花壇の前で立ち止まったときの記憶が蘇った。
あそこでスマホを取り出した拍子に、鍵が落ちた可能性がある。
そう思って、アパートの敷地の脇にある花壇を30分、必死で探した。

植木の隙間に手を突っ込み、土を軽くかき分け、落ち葉も一枚ずつどける。
暗い中でスマホのライトを照らしながら、「あるはずだ」と信じて。
でも、何度探しても見つからない。

その時ようやく、
「ああ、自分は今“ひとりで生活する不安”の真ん中にいるのだ」
と実感した。

誰かに頼れるわけでもなく、合鍵を用意してくれている家族が近くにいるわけでもない。
ひとり暮らしの“鍵紛失”というトラブルは、想像以上に精神を削る。

仕方なく、近所の交番に向かった。
交番の前に立つと、不思議と緊張した。
「鍵くらいで来るなって思われないかな…」
そんな小さな不安すら湧いてくる。

けれど、警察官は意外なほど優しかった。

事情を話すと、
「鍵の落とし物は多いですよ。まず紛失届を出しましょう」
と淡々と、でも丁寧に対応してくれた。

名前、住所、鍵の特徴、落とした場所の心当たり。
いくつか質問され、書類を書く。
その間、ずっと胸の奥のざわざわは残ったままだったけれど、
「一旦、正式に届け出が出た」というだけで少し落ち着いた。

警察官は続けてこう言った。

「今日すぐ届くとは限りませんが、見つかったら必ず連絡します。
鍵屋さんを呼ぶ場合は、管理会社にも連絡をしてくださいね。」

誰かが状況を整理してくれるだけで、
ひとりの不安は半分くらい軽くなる。
そんな当たり前のことを、改めて知った夜だった。

アパートに戻って管理会社へ電話すると、
「夜間対応の鍵業者を手配できます」
とのこと。
料金は高いが、それでも家に入れないという状況に比べれば現実的だった。

結局その夜、鍵は見つからず、
鍵屋さんに来てもらい、部屋に戻ることができた。

玄関のドアが開いた瞬間、
ただの“部屋”だった場所が、やけに安心できる空間に感じた。
ソロ生活では、こうした“日常のトラブル”が、自分のメンタルを大きく揺らす。

花壇を30分探しても見つからず、
警察に行き、紛失届を書き、管理会社に連絡し、
最後は鍵屋に頼る。

その一連の流れが、まるでひとりの生活を象徴しているようだった。
不安も焦りも、全部自分で抱えながら対処していく。
でも、誰かが丁寧に対応してくれると、救われる。

ひとりの生活は自由だけど、
こういう瞬間に“孤独”が顔を出す。
それでも、なんとかなる。
人は意外と強く、生きていける。

鍵はまだ見つかっていないけれど、
今日の経験でひとつ学んだことがある。

「焦っても見つからない時は、誰かの知恵を借りていい」

ソロ生活は、自分だけで完璧にしなくていい。
必要な時は、人を頼っていい。

そう思えた夜だった。

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