都内で一人暮らしを始めて、半年以上が経つ。けれど、なぜだろう——ポストを開けると、今でも時々「前の住人宛ての郵便物」が入っている。最初は「誤配?」と思った。でも宛名を見ると、確かに自分とは違う名前。引っ越したのは去年、住所変更も完了しているはず。なのに、なぜ届くのか。最初の頃は軽く流していたけれど、半年経っても続くと少し気になってくる。
調べてみると、理由はいくつかあるらしい。
まず一つは、前の住人が郵便局に「転送届」を出していないパターン。通常、転送届けは1年間有効。でも提出しなければずっと旧住所宛に届き続けてしまう。もしそのまま放置されれば、今住んでいる自分のポストに定期的に入ることになる。
もう一つは、通販サイト・銀行・カード会社などの住所登録を前の住人が変更し忘れているケース。これ、意外と多いらしい。引っ越しって手続きが山ほどあって、うっかり後回しにしてしまうのはわかる。でも届く側としては、ちょっと困ってしまう。
最初の頃は、「開封したらダメだし、どうすべき?」と迷った。勝手に捨てたらいけない気もする。調べた結果、ベストなのは郵便局に「この人はもういません」と返却すること。封筒に**「受取人不明・転居先不明」**と書いてポストへ投函すればOK。これを繰り返すと、元の差出人に戻り、住所データが更新される可能性が高い。
実際にやってみた。封筒の宛名の横にペンで「この住所には住んでいません」とメモして近所の郵便ポストへ。数回続けると、次第に届く頻度が減ってきた。完全にゼロではないけれど、かなり少なくなった。
ただ、稀にクレジットカード会社の書類のような重要そうなものも届いた時は驚いた。そんな時は郵便局の窓口へ持っていくほうが確実だと聞き、念のため対応。ちょっと手間ではあるが、トラブル防止にもなる。
半年経っても前の住人の痕跡が届くのは、都会の一人暮らしならではのあるあるだと思う。ポストを開けるたび、少しだけ知らない誰かの生活が見える気がして、不思議な感覚になる。「この人もここで生活していたんだな」と。
もし今、あなたの家にも前の住人宛の郵便が来て困っているなら、無視せずに小さな対応をしてみると良い。返送していけば、ゆっくりと減っていくし、知らない誰かがどこかで救われるかもしれない。ひとり暮らしは孤独もあるけれど、自分の生活リズムが整い、部屋も街も少しずつ自分のものになっていく。ポストに届く封筒の名前が全部「自分宛」になった時、ようやくこの部屋に馴染んだ証になる気がした。

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