群馬に住んでいた頃からずっと気になっていた。
「ガストのステーキが食べ放題らしい」という噂。
高崎の店舗にあるそのイベントは、ずっと行ってみたいと思いながら、
なぜかタイミングが合わず、何年も流してきた。
でも今日、ようやくその扉を開けた。
ひとりで食べ放題。
ひとりでステーキ。
ひとりでガスト。
全部が初体験。
店内に入る瞬間、ちょっと緊張していた。
「食べ放題って、ひとりでも浮かないかな…」
そんな不安はあったけれど、
席に案内されてテーブルに腰を下ろした瞬間、すっと消えていった。
まわりを見ると、意外とひとり客が多い。
サラリーマンも、学生も、女性のひとり客もいた。
それだけでなんだか心が軽くなる。
ステーキ食べ放題のメニューを開く。
“時間無制限”の文字が目に飛び込む。
え、無制限?
それだけでワクワクする。
最初の一皿を注文すると、ジュージューと音を立てながら
熱々の鉄板が運ばれてきた。
ひと口食べた瞬間、
「ああ、来てよかった」と本気で思った。
肉の厚み、ほどよい塩気、ガスト特有のあっさりしたステーキソース。
ファミレスのステーキってこういう“優しい味”がいい。
毎日食べられるような、気取らない美味しさ。
2枚目、3枚目と追加する頃には、
だんだんと“ひとりで食べ放題する楽しさ”が見えてきた。
ひとりだと、自分のペースだけで動ける。
途中で水を飲むタイミングも、
サラダを挟むタイミングも、
「あと何枚いけるかな」と静かに自分と相談する時間も、
全部が贅沢だった。
店内はほどよくにぎやかで、
でもその音がまったく邪魔にならない。
鉄板の焼ける音、遠くの子供の笑い声、
厨房から聞こえる注文の確認。
その全部が心地よかった。
気づけば、もう一枚…もう一枚…と頼んでいて、
自分でも驚くほど食べていた。
ひとりで食べ放題なんて寂しいと思っていたけど、
実際はまったく違った。
“ひとりで何かを経験する”って、
静かに満たされていく感覚がある。
最後の一皿を食べ終えた頃には、
ただ満腹になっただけじゃなくて、
心の奥のほうがふっと軽くなっていた。
高崎のガストでの、
ひとりステーキ食べ放題デビュー。
これは、新しい「ひとり時間」の扉を開いた感じがした。
そして思った。
また来よう。
次はもっと味わおう。
もっと自分のペースで、もっと自由に。
ひとりで行く食べ放題は、
想像以上に悪くない。
むしろ、すごくいい。


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