大学図書館は最強の勉強場所。ひとりで公務員試験に挑んだ日

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大学の図書館には、独特の静けさがある。外の喧騒とはまったく違う、肌にまとわりつくような静寂。あの空気に入ると、自然と背筋が伸びる。そんな場所で過ごした一日は、今でもはっきりと覚えている。あの日、私は公務員試験の勉強に本気で向き合う覚悟を決めた。

入り口を抜けてすぐの閲覧室では、誰もが自分の未来に向かって黙々と机に向かっていた。試験勉強、卒論、就活の資料づくり。それぞれが違う戦いをしているのに、空気は一つにまとまっているように感じられた。あの一体感の中にいると、自分だけが取り残されているような焦りと、確実に前に進めるような安心が同時に胸に宿った。

席に座り、参考書を開く。その瞬間だけで、不思議と世界の雑音が消えていった。スマホも気にならない。ページをめくる音、シャープペンの芯が紙をこする音、それだけが空間を支配している。たったそれだけで「今日は絶対に集中できる」と思えた。

午前中は、専門科目の理解に苦しんだ。何度読んでも意味がつかめず、ページの文字が波のように揺れて見えた。それでもやめなかった。やめたら、あの日の自分に負ける気がした。少しずつノートに書き写し、自分の言葉に変えていくと、ぼんやりしていた知識が輪郭を持ち始めた。勉強というのは、急に理解できる瞬間が来る。その予感だけを頼りに、ひたすら手を動かしたのだ。

昼休みに外へ出て、大学構内のベンチで軽く食事をした。太陽がまぶしくて、頭の中がすっきりした。ふとまわりを見ると、同じようにひとりで勉強している学生が何人もいた。誰も話していないのに、「自分も頑張ろう」と自然と思える。この雰囲気は、家では絶対に作れない。

午後は過去問を解いた。最初は解けなかった問題も、夕方になる頃には少しだけ自信を持って解けるようになっていた。「成長って、本当に気づかない速度で進むんだな」と思った。焦っていた自分の心が、ゆっくり落ち着いていくのがわかった。

夕方、窓から差し込む光が弱くなってくると、図書館全体が少し寂しげな雰囲気に変わった。けれどその時間が好きだった。自分だけが静かに前へ進んでいる気がして、誰にも邪魔されない達成感があったからだ。

帰り道、疲れているはずなのに心は軽かった。大きな目標に向かって、確実に一歩動けた日。それが自信になったのだ。

あの日の図書館の静けさは、今でも私を支えている。
孤独は、時に最高の勉強相手になる。

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