前橋の桃ノ木川サイクリングロードを、ただひたすら歩いてみた。
歩き始めたのは朝8時。最初は「今日はどこまで歩けるかな」くらいの軽い気持ちだったのに、気づけば10時間、ほぼ休憩なしの“長距離ウォーク”になっていた。
川沿いの道は静かで、車のエンジン音もしない。聞こえるのは風の音と、自分の足音だけ。最初の1〜2時間は余裕だった。体も軽く、景色も綺麗で気持ちが良い。
けれど、3時間を過ぎると足裏が少し痛み始め、5時間目には太ももが重くなり、7時間目になる頃には「何やってんだ俺…」という気持ちさえ湧いてきた。
それでも歩き続けられたのは、道が真っ直ぐで、前に進む以外の選択肢がなかったからだと思う。桃ノ木川のゆるい流れと、ところどころに咲いている季節の花が、心の折れそうなタイミングで小さな励ましをくれた。
9時間を超えた頃には、もはや修行だった。
汗は完全に乾ききり、足が棒みたいになって、歩幅もどんどん小さくなる。だけど、不思議なことに気持ちはだんだん軽くなる。
何も考えず、ただ前に足を出すだけの時間が続くと、頭の中が空っぽになっていく。歩く瞑想に近い感覚だ。
そして10時間が経過。
スマホの歩数計を見ると、とんでもない数字が並んでいた。
帰宅して体重計に乗ったら、まさかの「−3kg」。
もちろんこれは“水分が抜けた分”が大きいと思う。だけど、10時間歩ききった達成感は確実に残っていたし、「まだ自分はやれるんだ」という謎の自信も湧いてきた。
桃ノ木川サイクリングロードは、前橋の中でも特に歩きやすいコースだ。
信号が少なく、川沿いで静かで、景色もいい。もし「自分を変えたい」「リセットしたい」って気持ちがあるなら、長距離ウォーキングは本当におすすめだ。
きついけど、歩くたびに何かが軽くなる。
心も、体も。
そして気づいたら——
いつの間にか、3kg減っていた。


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