コールセンターの仕事に初出勤した。
時給は1450円。
これまでITエンジニアとして仕事をしてきた私にとって、コールセンターで働くというのは少し違った世界に入る感覚があった。
しかも53歳。
新しい職場へ行くときは、何歳になっても多少は緊張する。
「どんな仕事なんだろう」
「電話対応についていけるだろうか」
「覚えることが多すぎないだろうか」
そんなことを考えながら初日を迎えた。
ところが実際に研修を受けてみると、最初に感じたのは恐怖ではなかった。
研修資料を読む。
説明を聞く。
内容を理解する。
そして、ふと思った。
「あれ、これならいけそうだな」
まだ初日なので、本当に仕事ができるかどうかは分からない。
それでも、初出勤前に想像していたよりは、ずっと前向きな感触だった。
初出勤前は仕事内容が見えない
新しい仕事の怖さは、仕事そのものより「何をするのか分からないこと」から生まれる部分が大きいと思う。
求人票を読めば、ある程度の仕事内容は分かる。
コールセンターなら電話対応。
問い合わせ対応。
PC入力。
マニュアル確認。
だいたいそんなことは想像できる。
しかし、実際の仕事の難易度までは分からない。
電話が鳴り続けるのだろうか。
覚えることが何百個もあるのだろうか。
難しい質問をされたらどうするのか。
PCを何画面も操作するのか。
分からないから、頭の中で仕事を必要以上に難しくしてしまう。
これは転職や派遣で新しい現場に入るたびに起こることなのかもしれない。
まずは研修だった
初日にいきなり、
「それでは電話を取ってください」
という展開ではなかった。
まず研修がある。
説明を聞いて、資料を読む。
仕事をするために必要なことを理解していく。
当然といえば当然なのだが、実際に席について研修を始めると少し安心した。
一つずつ読んでいけばいい。
分からなければ確認すればいい。
そして、資料に書かれている内容を読んでいくうちに、
「理解できる」
と思った。
ここは意外と大きかった。
「理解できる」というだけで安心した
初めて見る資料なので、すべて知っているわけではない。
専門用語もある。
その会社独自のルールもある。
覚えなければならないことも当然ある。
それでも、文章を読んで、
「これはこういう意味だな」
と頭の中で整理できた。
説明を聞けば、
「なるほど」
と思える。
まったく分からない世界ではなかった。
そこで初めて、
「これならいけそう」
という感覚が出てきた。
まだ電話対応を完璧にできるわけではない。
研修を受けただけだ。
それでも、仕事を理解できそうだと思えたことは、初日の自分にとってかなり大きかった。
エンジニア経験が意外と役立つかもしれない
私はこれまでIT系の仕事をしてきた。
システムの仕事では、知らない仕様を読むことがある。
資料を読む。
画面を見る。
処理の流れを確認する。
分からない部分を調べる。
そして、
「つまり、こういうことか」
と頭の中で整理する。
今回コールセンターの研修を受けながら、少し似ていると思った。
もちろん、プログラムを作る仕事と電話対応はまったく違う。
しかし、知らない情報を読んで理解するという部分は共通している。
コールセンターだから、自分のエンジニア経験が全部ゼロになるわけではない。
これまでやってきたことの一部は、別の仕事でも使えるのかもしれない。
そう考えると少し面白かった。
53歳でも「新しいことを理解する力」はなくなっていない
50代で新しい仕事を始めると、
「覚えられるかな」
という不安が出てくる。
20代や30代のころと比べてしまうこともある。
しかし今回、初日の研修資料を読んでいて思った。
少なくとも、
「読んでも全然頭に入らない」
という状態ではなかった。
普通に読める。
普通に理解できる。
新しい情報も整理できる。
これは当たり前のようで、53歳の自分には少しうれしい確認だった。
年齢だけを見て、
「新しい仕事は無理だ」
と決める必要はないのだと思う。
実際にやってみなければ分からない。
研修と実戦は別物だと思っている
もちろん、ここで調子に乗るのは早い。
資料を読んで理解することと、実際に電話を取ることは違う。
電話では相手がいる。
こちらの予定通りには話してくれないだろう。
想定外の質問もあるかもしれない。
聞き取れないこともあるかもしれない。
PCを操作しながら話す必要も出てくる。
研修資料なら、分からないところをもう一度読める。
しかし電話はリアルタイムで進む。
だから、
「研修が分かった=もう仕事ができる」
とは思っていない。
現時点では、
「少なくとも最初の研修についていけそう」
という段階だ。
それだけでも十分だと思う。
初日に全部覚える必要はない
研修を受けていると、どうしても全部覚えようとしてしまう。
しかし、初日にすべて記憶するのは無理だろう。
重要なのは、
「こういうルールがあった」
「分からないときはここを見る」
「この場合はこう対応する」
という大まかな地図を頭の中に作ることではないかと思った。
これはITの仕事でも似ていた。
巨大なシステムの仕様を最初から全部暗記する人はいない。
必要な情報がどこにあるかを知り、仕事をしながら理解を深めていく。
コールセンターでも同じように考えればいいのかもしれない。
時給1450円という数字だけでは分からなかったこと
採用されたとき、最初に目に入るのはどうしても時給だった。
1450円。
エンジニア案件と比べれば低い。
時給1800円ならどうか。
2000円ならどうか。
そういう比較もしていた。
でも実際に初出勤すると、時給だけでは分からないものがある。
自分にできそうなのか。
職場に通えそうなのか。
仕事を理解できそうなのか。
続けられそうなのか。
これは求人票を100件読んでも分からない。
一日働いて初めて分かる情報がある。
今回の「いけそう」という感覚も、その一つだった。
初日の収穫は「できた」ではなく「いけそう」
まだ、
「コールセンターの仕事ができるようになった」
とは言えない。
初日だから当然だ。
電話対応が始まれば、失敗するかもしれない。
分からない質問をされて固まるかもしれない。
思った以上に難しい可能性もある。
それでも初出勤前と初出勤後では、自分の感覚が少し変わった。
出勤前は、
「できるかな」
だった。
研修を受けた後は、
「いけそう」
になった。
この違いは大きい。
53歳でも、とりあえずやってみれば景色は変わる
仕事探しをしていると、求人票を見ながらいろいろ考える。
これは無理そう。
経験がない。
時給が低い。
自分には合わないかもしれない。
年齢的に厳しいかもしれない。
考えているだけなら、不安はいくらでも増える。
しかし実際に応募して、採用されて、職場へ行ってみると情報が変わる。
今回もそうだった。
コールセンターという仕事を外から想像していたときと、実際に研修を受けた後では印象が違う。
少なくとも初日は、
「無理そう」
ではなかった。
「これなら、いけそう」
だった。
明日以降どうなるかは分からない。
電話を実際に取ったら感想が180度変わる可能性だってある。
それも含めて記録していけばいいと思っている。
初日に感じたことを後から格好よく修正する必要もない。
初日は初日の感想。
1週間後には1週間後の感想。
1か月後には1か月後の感想がある。
53歳で始めたコールセンターの仕事。
まず最初の一日は、
研修資料を読んで、説明を聞いて、「これならいけそう」と思えた。
今のところ、それが一番大きな収穫だった。


コメント