はじめに
初めてモバイルSuicaを使った日のことを覚えている。
今では当たり前のようにスマホを改札にかざしている。
財布を出さない。
カードも出さない。
スマホ一台で電車に乗る。
しかし最初は少し不安だった。
本当に通れるのだろうか。
エラーにならないだろうか。
改札の前で止められたら恥ずかしい。
そんなことを考えていた。
今回は、私が初めてモバイルSuicaを使った日の話である。
長い間、カード派だった
私は長い間、交通系ICカードを使っていた。
財布の中に入れておけばよかった。
改札でタッチする。
それだけだった。
特に不満はなかった。
だからモバイルSuicaに変える必要性も感じていなかった。
ところが東京へ来てから少し考えが変わった。
電車に乗る回数が増えた。
乗り換えも増えた。
財布を出す回数も増えた。
そのたびに、
「スマホだけで済んだら楽なのでは」
と思うようになった。
設定するだけで緊張した
モバイルSuicaの設定は思ったより簡単だった。
アプリを入れる。
登録する。
チャージ方法を設定する。
説明通りに進める。
それだけだった。
しかし私は少し緊張していた。
機械が苦手というわけではない。
ただ、新しい仕組みを使う時は慎重になる。
本当に大丈夫なのか。
ちゃんと動くのか。
何度も確認した。
改札の前で立ち止まる
設定が終わった。
チャージもした。
あとは使うだけだった。
しかし改札の前に立つと急に不安になる。
本当に通れるのか。
スマホをどう向けるのか。
どこにかざすのか。
周囲の人は普通に歩いている。
私だけが初心者だった。
少しだけ緊張した。
一瞬で終わった
勇気を出してスマホをかざした。
ピッ。
それだけだった。
改札は普通に開いた。
何事もなかった。
拍子抜けするほど簡単だった。
もっと大げさなものを想像していた。
しかし実際は一秒もかからない。
私はそのまま歩きながら少し笑った。
こんなに簡単だったのか。
東京のスピード
東京に来て感じたことの一つがスピードである。
人の流れが速い。
駅も速い。
移動も速い。
改札で立ち止まる人は少ない。
みんな流れるように通過していく。
モバイルSuicaはその流れに合っている。
財布を探す時間がない。
カードを取り出す時間もない。
スマホだけで終わる。
東京らしい仕組みだと思った。
財布を出さない生活
モバイルSuicaを使い始めてから変わったことがある。
財布を出す回数が減った。
電車。
コンビニ。
自動販売機。
以前より財布に触れなくなった。
不思議な感覚だった。
若い頃には想像もしなかった。
電話しかできなかった携帯電話が、今では切符の代わりになる。
時代は変わったのだと思う。
小さな成功体験
振り返ると大した出来事ではない。
ただスマホで改札を通っただけだ。
しかし新しいことを一つ覚えた。
できなかったことができるようになった。
それは小さな成功体験だった。
年齢を重ねると新しいことを避けたくなる。
今まで通りでいい。
慣れた方法でいい。
そう考えがちになる。
だからこそ小さな挑戦には価値がある。
上京して増えた挑戦
東京へ来てから新しいことが増えた。
引っ越し。
役所の手続き。
通勤。
新しい駅。
新しい仕事。
モバイルSuicaもその一つだった。
どれも大きな挑戦ではない。
しかし積み重なると人生は変わる。
一年前には想像していなかった生活をしている。
そのことが少し面白い。
慣れると戻れない
モバイルSuicaは慣れると便利だった。
スマホを出すだけ。
チャージも簡単。
残高確認も簡単。
気付けば当たり前になった。
そして人間は便利なものに慣れる。
今では逆にカードへ戻る方が面倒に感じる。
最初は不安だったのに不思議なものだ。
技術と年齢
年齢を重ねると、
「もう新しいことはいいかな」
と思う瞬間がある。
私にもある。
しかし実際にやってみると案外簡単なことが多い。
難しいと思っていたことが数分で終わる。
モバイルSuicaもそうだった。
問題は技術ではない。
最初の一歩なのだと思う。
一人で覚えるということ
私は一人で設定した。
一人で試した。
一人で改札を通った。
誰かに教わったわけではない。
今の時代は便利だ。
調べれば情報が出てくる。
動画もある。
説明もある。
一人でも何とかなる。
それは一人暮らしをしていると特に感じる。
おわりに
初めてモバイルSuicaを使った日。
今思えば本当に小さな出来事だった。
しかしその小さな出来事が生活を少し変えた。
財布を出さなくなった。
移動が楽になった。
新しい仕組みに慣れた。
そして何より、
「まだ新しいことを覚えられる」
と思えた。
それが一番大きかったのかもしれない。
人生は大きな出来事


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