ITの仕事とコールセンター。
この二つを並べると、まったく違う仕事に見えるかもしれない。
ITエンジニアはパソコンに向かってシステムを作る仕事。
コールセンターは電話で利用者と話す仕事。
私自身、IT系の仕事とコールセンターの仕事の両方を経験してきた。
一見すると別々の経歴に見えるが、改めて考えてみると、意外と共通している部分がある。
特に、パソコン操作、問題の切り分け、情報検索、相手への説明といった能力は、ITでもコールセンターでも使う可能性が高い。
今回は、IT経験者とコールセンターは意外と相性がいいのではないか、というテーマを考えてみたい。
コールセンターもパソコンを使う仕事
コールセンターという言葉から、電話で話している姿だけを想像する人もいると思う。
しかし実際の仕事では、電話だけで完結するとは限らない。
顧客情報を確認したり、必要な情報を検索したり、対応内容を入力したりと、パソコンを使う場面は多い。
そのため、普段からパソコンを使って仕事をしてきた人にとっては、その部分で入りやすさがある。
ITエンジニアなら、複数の画面を見ながら必要な情報を探すことにも比較的慣れている。
知らないシステムを最初から完璧に操作できるわけではない。
それでも、
「この項目には何が入っているのか」
「どこを確認すれば必要な情報が見つかるのか」
と画面の構造を考えながら覚えていく感覚は、IT経験と相性がいい。
問題を切り分ける考え方が使える
IT経験者の強みとして大きいのが、問題を切り分ける習慣だと思う。
システムに問題が起きたとき、
いつから発生したのか。
毎回起きるのか。
特定の操作だけで起きるのか。
エラーメッセージは出ているのか。
直前に何をしたのか。
こうした情報を確認しながら原因を絞っていく。
これは電話で問い合わせを受ける場面にも応用できる。
利用者から、
「動かない」
「できない」
「急におかしくなった」
と言われても、それだけでは原因は分からない。
何が動かないのか。
どの画面なのか。
いつまでは使えていたのか。
何か表示されているのか。
一つずつ確認していく必要がある。
プログラムの不具合調査と電話対応は同じ仕事ではない。
それでも、「分からない状態から必要な情報を集めて原因を狭める」という考え方には共通点がある。
相手が正確な言葉を使うとは限らない
ITの仕事をしていると、言葉の意味を正確に考えることが多い。
しかし問い合わせをする人が、必ずしもIT用語を正確に使うとは限らない。
「インターネットが壊れた」
と言われても、本当に回線そのものに問題があるとは限らない。
特定のサービスだけ使えないのかもしれない。
端末側の問題かもしれない。
設定が変わっただけかもしれない。
大切なのは、相手の言葉をそのまま技術的な意味として受け取るのではなく、
「この人は何ができなくて困っているのだろう」
と考えることだ。
ここでもITの問題解決能力が役立つ。
検索する力も立派なスキル
ITエンジニアだからといって、すべての答えを覚えているわけではない。
分からないことがあれば調べる。
仕様書を見る。
過去の記録を確認する。
必要な情報を検索する。
むしろITでは、「全部暗記していること」より、「必要な情報へたどり着けること」が重要になる場面が多い。
コールセンターでも似た考え方ができる。
すべての問い合わせへの回答を記憶するのは難しい。
必要な情報を探し、確認してから案内する。
この「検索して答えにたどり着く」という能力は、IT経験者が持っている強みの一つではないだろうか。
IT経験者だからこそ説明力を鍛えられる
逆方向のメリットもある。
コールセンター経験がITの仕事に役立つ可能性だ。
技術者同士なら専門用語だけで話が通じることもある。
しかし、システムを利用する人がITに詳しいとは限らない。
そこで必要になるのが、
難しいことを簡単な言葉で説明する力
だ。
自分では理解している。
しかし相手には伝わらない。
これはITの仕事でも起きる。
電話では相手の画面を直接見られない場合もあるため、言葉だけで状況を確認したり、操作を説明したりする必要がある。
こうした経験は、IT側へ戻ったときにも役立つ可能性がある。
テクニカルサポートならさらに相性がいい
IT経験とコールセンター経験の中間にある仕事として、テクニカルサポートやヘルプデスクがある。
パソコンやシステムについて問い合わせを受け、状況を確認して解決方法を案内する。
ここでは、
IT知識。
電話対応。
問題の切り分け。
検索力。
説明力。
これらを組み合わせられる。
IT経験者がコールセンター系の求人を見るなら、単純な電話対応だけでなく、こうしたIT寄りの仕事まで範囲を広げて探す方法もある。
過去の経験を一つにまとめやすいからだ。
エンジニア経験があるから楽とは限らない
ただし、IT経験があるからコールセンターの仕事が簡単になるとは限らない。
ここは分けて考えた方がいい。
プログラムなら、エラーの原因を調べて修正できる。
しかし電話の向こうにいるのは人間だ。
同じ内容を説明しても反応は違う。
急いでいる人もいる。
困っている人もいる。
話がうまく整理できない人もいる。
技術的に正しい説明をするだけでは十分ではない場面もある。
その意味では、ITとは違う疲れ方をする仕事でもある。
だから、
「IT経験者ならコールセンターは余裕」
と考えるのは少し違うと思う。
50代の仕事探しでは「経験の組み合わせ」を考えたい
50代で仕事を探していると、過去の経歴を一本の線にできないこともある。
IT。
事務。
コールセンター。
派遣。
短期の仕事。
一見するとバラバラに見える。
しかし、それぞれを完全に別の経験として扱う必要はない。
IT経験で身につけた問題解決力。
コールセンターで使う説明力。
パソコン操作。
問い合わせ対応。
情報検索。
こうして分解すると、複数の仕事で使える能力が見えてくる。
「私は何の仕事をしてきた人なのか」
だけではなく、
「これまでの仕事で何ができるようになったのか」
という視点で考えると、応募できる仕事の範囲も変わってくる。
ITかコールセンターかの二択にしなくてもいい
仕事を探していると、
エンジニアに戻るのか。
コールセンターへ行くのか。
どちらか一つを選ばなければならないように感じることがある。
しかし実際には、その中間もある。
社内ヘルプデスク。
ITサポート。
システム問い合わせ窓口。
テクニカルサポート。
システム運用と利用者対応を組み合わせた仕事。
IT経験と電話対応経験の両方があるなら、こうした仕事も候補になる。
二つの経験があることを弱点ではなく、組み合わせとして考えることができる。
バラバラに見える職歴もつながることがある
IT経験者とコールセンターは意外と相性がいいのか。
私の答えは、
相性がいい部分はかなりある
だ。
もちろん仕事内容によって違う。
それでも、パソコン操作、問題の切り分け、情報検索、説明力という共通点がある。
特にテクニカルサポートやヘルプデスクなら、両方の経験を生かしやすい。
過去の仕事を振り返ったとき、
「あの仕事とこの仕事は関係がない」
と思うことがある。
しかし少し視点を変えると、以前の経験が別の仕事で武器になることもある。
50代の仕事探しでは、新しい能力を一から増やすことだけが方法ではない。
これまで持っている経験を組み合わせて、別の価値に変える。
ITとコールセンターも、その組み合わせの一つなのだと思う。


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